コンクリートの質が建物の善し悪しを決める
新築物件は、3月引き渡しが多い。
これは買い側も売り側にも、3月までに引っ越したい・引き渡したい理由がそれぞれあるからだ。
学生や子供を持つ家庭では、春が年度初めなので、そこで引っ越すという機会がある。
住宅購入には、親や祖父母からの贈与非課税制度もあるので、それを受けるために3月15日までに引っ越したいという場合もあるだろう。
また売り手側は、年度末に売り上げを確定させるため、頑張る。
建築会社や不動産関連企業は、3月末を年度末にしているところが多く、決算や営業の性かを確定するために、受け渡しを急ぐ。
こういうことがあるため、3月の引き渡しに向けて、建築工事も進められていく。
ところがそのせいで、欠陥工事が行われることもあるらしい。
もう少し詳しく書くと、RC造り(鉄筋コンクリート)マンションの工期は、5階建てマンションで7~8ヶ月、10階建てマンションで約1年前後かかる。
これは一階造るのに1ヶ月弱くらいかかり、さらに電気や水回りの工事などにに2~3ヶ月くらいかかるためだ。
ここで問題になるのが、コンクリートの出来だ。
良いコンクリートを造るには、それなりの高い技術が必要で、水を加える割合や「養生」作業が重要だという。
この作業で必要になるのが、有能なコンクリート工・コンクリート職人だが、こういう上等な職人はスケジュールが大手建設会社に抑えられている。
そのため中小の建築会社では、大手建築会社の作業が終わった後に頼んだり、若手のコンクリート工を使わざるをえなかったりする。
鉄筋コンクリート造り(RC造り)の場合、建物の強度はコンクリートの出来によって決まってしまうため、マンションがたくさん造られている年に建てられた物件は、欠陥率が上がるという。
RCコンクリートは、職人の腕でかなり違う
RC造り(鉄筋コンクリート)の建物は、コンクリートの出来不出来で強度が決まる。
RC造りは、現場でコンクリートを流し込んで固める建て方で、鉄筋とコンクリートが助け合って強度を出す。
具体的には、鉄筋が粘りを、コンクリートが固さを受け持つ。
そのため、鉄筋が錆びると強度が落ちてしまう。
そこで重要になるのが、コンクリートの出来不出来だ。
というのも加水がちょうど良く、丁寧に打ち込まれたコンクリートであれば、鉄筋とコンクリートが密着して水分が入らない。
水分が鉄筋部分まで入らないと、50年から100年は持つという。
ところが水を入れすぎた水増しコンクリートだと、コンクリートにヒビが入りやすく鉄筋が錆びやすくなる。
逆に加水不足のコンクリートだと、しっかり鉄筋部分をコンクリートが覆わないので、強度不足が生じてしまう。
さらに、コンクリートをしっかり固めるためには、十分な養生期間が必要だという。
養生作業にも経験やスキルが必要で、特に冬の寒い時期は、コンクリートにムラができやすく、強度不足になりやすい。
なので大手建築会社は、寒くなる前にコンクリートを打つ作業を終われるようにスケジュールを立てるのだが、慌てて造った急造マンションのコンクリートは寒くなってから打たれる。
こういう急造RCコンクリートだと、築10年前後でヒビが入ったり、コンクリートがボロボロと剥がれ始めるという。
そのため、5階建てくらいのマンションなら、工場でコンクリートの壁を打って、それを組み立てるPC工法(プレキャスト工法)で造られていることも多い。