アパートを10室以上持つと事業になる
アパート経営が順調に進むと、次は二軒目・三軒目の取得ということになる。
一軒目の経営が黒字だと、銀行や金融公庫からの融資も受けやすいので、取得・経営も安定していく。
しかしそれと反比例して、アパートの管理が面倒になる。
自分一人で管理しきれなくなっていくので、ダンナや奥さん、子供や親戚の手を借りたり、従業員を雇って管理をしたりすることになる。
そこで必要経費として認められるのが事業専従者控除(じぎょう・せんじゅうしゃ・こうじょ)になる。
つまり不動産所得の計算で、事業専従者への給与が必要経費として控除できるようになる。
この場合、次のどちらかの計算で小さい方が控除額になる。
- 事業専従者が事業主の配偶者なら86万円、それ以外は専従者一人につき50万円
- 控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額
つまりアパート経営が「家業」ではなく「事業」として認められないと、事業専従者控除を必要経費として控除できず、所得税をたくさん支払う羽目になってしまうわけだ。
事業的規模とは?
アパート経営が上手くいくと、二軒目、三軒目と手を広げていくことになる。
アパートを一棟経営するだけでは、大して儲からないから棟数を増やさないと。
たとえ現状利回り・実質利回りが10%あったとしても、一千万の物件で賃貸収入は年100万円しか収入が無いわけで、そこから必要経費を差し引くと利益はせいぜい年30万~50万くらいしかない。
つまりアパートを一棟だけ所有しても自分がそのアパートに住むのでなければ、ハッキリ言ってあまり旨味はない。
アパート経営で儲けて生活費を稼ごうと思うと、どうしても3~5棟くらい所有しないといけないわけだ。
そうなってようやく、アパートは事業として認められることになり、事業専従者控除というのが必要経費として認められる。
ただし自分のアパートが事業規模か家業規模かは、ハッキリ決まっているわけではない。
というのも地域の税務署が判断するモノなので、地域によって判断基準は微妙に変わってくるからだ。
因みにアパートが事業として認められるのはアパート・マンションの貸し室数が10室以上であるか貸家が5棟以上である場合、駐車場経営だと5車分でアパート1室分くらいで換算されるようだ。
もちろん所有しているだけではなく、実際に収入があるのかどうか、賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等も考慮されるから、この目安より経営している賃貸物件が少なくても、事業的規模として認められることもあるという。
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