狭小住戸集合住宅税(ワンルームマンション税)とは?
ワンルームマンション税とは、30㎡(平方メートル)未満の「狭小住戸」に課せられる地方税だ。
1970年代後半から、雨後の竹の子のようにできたワンルームマンションが、この範疇に入るため、一般的に「ワンルームマンション税」という名前が付いている。
ワンルームマンションだけに、なぜ特別な税が課せられているかというと、殆どが投資目的で建てられたモノで、地方自治体に税金を納めないケースが多いからだ。
東京都の豊島区(てしまく:池袋周辺)は、全世帯の過半数が単身者世帯で、25㎡未満のワンルームマンションが非常に多い。
そこで区が調査を行ったところ、ワンルームマンション住人のうち、住民登録をしているモノは58%しかおらず、残りのワンルーム住人のうち42%は住民税を豊島区に支払っていなかった。
さらに調べたところ、ワンルームマンションの所有者のうち、豊島区内に住んでいるのはわずか7%に過ぎず、他府県の所有者が72%にも上った。
自治体では、消防や警察、ゴミ収集など、様々な住民サービスを提供しているが、これは居住者の住民税があってこそのサービスで、無料などではない。
ということで、2004年から狭小住戸集合住宅税(ワンルームマンション税)が導入され、一戸あたり50万円の地方税を課すことになったワケだ。
もちろんこれは、投資目的で建てられたワンルームマンションが標的なので、専有面積30平方メートル未満の部屋が9部屋以上ある集合住宅が対象になっている。
ワンルームマンションは、規制強化される方向にある
ワンルームマンション税とは、投資目的で建てられた狭小住戸集合住宅を狙い撃ちにして課せられる地方税だ。
池袋駅がある東京都豊島区では、2008年からワンルーム1戸あたり50万円のワンルームマンション税を導入しており、様々な議論が起こっている。
豊島区の場合、単身世帯が52%と過半数を占めるのだが、ワンルームマンション住民の4割以上が住民票を移しておらず、豊島区に住民税を納めていない。
さらにワンルームマンションの所有者の9割以上が豊島区に住んでおらず、事業で儲けた利益にかかる税金も豊島区に納められない。
不動産に毎年かかる税金としては固定資産税もあるが、これは東京都に納付されるため、豊島区は警察や消防、ゴミ収集などのサービスを、税金を納めない住人にタダで提供していることになる。
ということで、ワンルームマンションを標的とした地方税を導入したわけだが、他の理由もある。
それは「投資目的で建てられたワンルームマンションは狭すぎて、住宅として住みやすくない」ということだ。
一般的な賃貸住宅は、専有面積で分けると、
- 30平方メートル未満
- 30平方メートル以上、60平方メートル未満
- 60平方メートル以上
と言う風に、大雑把に3分類されているが、投資目的のワンルームマンションは20平方メートル前後で建てられていることが多い。
地方自治体では、住宅の最低専有面積(住宅として認める面積の下限)を決めているのだが、これはそれをギリギリ満たす水準だ。
可能な限り部屋数を多くするように建てられたため、こういう「狭小住戸」が山ほどできたらしい。
しかし都心部では、徐々に最低専有面積を徐々に引き上げ始めている。
というのも高齢化が進み、狭すぎる住居では様々な面で支障があるからだ。
恐らくこれからはもう専有面積30平方メートル未満のワンルームマンションは建てられないし、東京の大きな駅周辺以外は、入居者も減るだろうね。