高齢者のためのリフォーム バリアフリー化
収益用物件のリフォームを考える時、バリアフリー化も考慮しておく必要がある。
バリアフリー化というのは、部屋と部屋の段差を無くしたり、スロープをつけたり、階段や風呂場などに手すりをつけて、高齢者や身体障害者が生活しやすい状態にすることだ。
一言で表現するなら「車椅子で動き回れる家」と言ったところだろう。
日本の住宅事情を考えると、空き家が増え、賃貸物件の空室率がどんどん上がって言っている状態だ。
少子高齢化で、日本の総人口も毎年数十万人ずつ減っている。
こういう状況下では、特徴の無い物件は、他の賃貸物件との競争で生き残れない。
特徴が無い賃貸物件は、薦める材料がないので、バリアフリー化にリフォームされているという材料も重要だろう。
もう少し詳しく書くと、玄関にスロープをつけたり、屋内の段差を無くしたり、トイレや風呂も安全に使えるような、手すり付の設備に入れ替える。
扉も折りたたみドアや引き戸(スライド・ドア)にしたり、車いすが通れるように玄関や部屋の出入り口も広くする。
ここまでするとリフォーム費用も嵩んでしまうが、階段やスロープに頑丈な手すりをつけるくらいなら、大した費用もかからないだろう。
介護が必要な高齢者の場合は、しっかりしたバリアフリー化が必要だろうが、そこまで行かない高齢者も、手すりがあるだけで相当助かる。
50歳くらいになると、足腰が急に弱ったり、バランス感覚がおかしくなったりするので、部屋の間の段差や畳の縁などで転倒することも多いのだ。
さらに五十肩になったりすると、ちょっとしたことで激痛が走って動けなくなったりする。
こういうのは歳をとって、実際になってみないと分からないことだが、手すりなどのガイド設備があるかどうかは、相当違う。
元気なときには問題ない些細なことで大ケガする。
和室を洋室にするリフォームは、木造アパートでもよく行われるリフォームだ。
畳を全部剥がして、床を強化し、キレイな床材などを敷く。
これは一見、お洒落な部屋にしているように見えるが、実はバリアフリー化でもある。
というのも中年になると、ちょっとした段差に、足を取られたりする。
これは若い頃と比べて、体内感覚が変わってしまっているかららしい。
さらに足首や股関節などが硬くなってしまって、地面から来る衝撃をうまく去(い)なせないため、と言うこともあるようだ。
こういう脚を引っかけて転倒する原因の一つが、畳の縁や、ちょっとした段差だ。
畳は意外にデコボコしているし、摩擦抵抗も大きいので、引っかかるようになると、度々引っかかってしまうのだ。
そのまま転倒して大腿骨や骨盤を骨折でもすると、命に関わるので、洋室に替える。
また年を取ると飲み物をこぼしたり、失禁したりして、床を汚すことも多くなる。
コーヒーを飲んでいても、なぜか口からこぼれていたりする。
和室の場合、こういう汚れが畳にしみこみ、ダニの繁殖やカビの原因になったりする。
洋室であれば、カーペットを定期的に替えて洗えば良いが、畳の場合はなかなかそうも行かないから、汚れる一方になってしまう。
因みにリフォーム費用としては、こんな感じになる。
- トイレの便器交換(和式から洋式)…約20万円+便器の価格
- トイレ・洗面台の交換…約50万円
- 浴槽の交換…約20万円+浴槽の価格(給湯器は別)
- 和室から洋室へのリフォーム…約80万円(押し入れ・天袋も撤去)
- マンション内装リフォーム…約120万円